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Special >>2007年4月のインタビューはこちら

6月30日(土)ヴァンフォーレ甲府戦で、Jリーグ創設以来初となる400試合出場を達成した藤田俊哉選手。前人未到の記録を更新し続ける藤田選手に、今後の展望やJリーグ後半戦に向けての思いを語ってもらった。

――前人未到のリーグ戦400試合出場、おめでとうございます。入念なコンディショニング、身体のケアを怠らなかったからこその偉業達成ですね。
[俊哉] ありがとう。でもね、特別なことは何もしてないよ。当たり前のことを、ずっと続けてきただけだから。若い頃にムチャしてたわけでもないし、かといって今、ほかの選手がやらないことをやっているわけでもない。大事なのは、同じことをずっと続けることだから。
――すでに歴代1位です。出場試合数の記録にこだわりはありますか。
[俊哉] ないよ。選手は指折り「今日で何試合目」って数えてるわけじゃないしね。400試合直前は区切りがいいから分かってたけど、またすぐに数字は忘れちゃうと思う。試合数にこだわっても仕方ないよ。自分が納得できないコンディションで出続けても、ストレスになるだけだから。頭の中で描くイメージにプレーが伴わなければ、面白くないんじゃないかな。
――今はもちろん、頭で思い描くプレーができている。
[俊哉] 自分ではそう思ってる。足が一歩出ないとか、そういうのは感じてない。でも評価は周りの人がするものだしね。
――それにしても、特別なことは何もしないというのは意外でした。
[俊哉] むしろ疲れてたら休んじゃうこともあるし。全体練習が終わったら「今日は帰ろう」って。それに「おなか減ってないから、ゴハン食べなくてもいいか」とか、「お酒飲んじゃおうかなー」って日もあるしね。あまりストイックにならずに、いつも幅を持たせてるよ。じゃないとパンクしちゃうでしょ。俺はビールも好きだし、焼肉も食べる(笑)。
――うまく息抜きをしながら、8月のリーグ戦再開までトレーニングに励むわけですね。
[俊哉] そう。ちゃんと休みながらね。例えば学生の頃は、ものすごく筋肉を酷使しても次の日はケロッとしてた。でも今は、ハードワークに身体の再生が追いつかないかもしれない。それを前提に考えると、オーバーワークはできないよね。体力は限られたもので、筋肉やじん帯は消耗するものだと思ってるから。休めるところは休む。それは持論。若い選手がそれを聞いて「やらなくていいんだ」と変に誤解されると困るんだけどね。やるべきことはやってるから。
――チームとしても、戦術を熟成させられる期間ですね。
[俊哉] ポジションもボランチから前になったし、得点力不足を補うプレーをしないとね。早い段階でそこを解消しないと、「せっかく前に上げたのに……」って言われちゃう(笑)。
――前線にはヨンセン選手が構えています。
[俊哉] 彼は素晴らしい選手。実績もあるし、日本に来ても短い期間で結果を残している。チームプレーに徹するし、人柄も最高! 例えば、チームとして彼をどう生かしていくかはひとつの課題かもしれない。有効なボールが入れば、もっと得点できるポテンシャルがあるから。サッカーは1人でやるものじゃない。2人でパス交換して終わるスポーツでもない。チームとしてまだ連動性に乏しいところがあるから、そのあたりをもっとみんなで考えないとね。
――名古屋には若く有望な選手がたくさんいますが、彼らをどういう視線で見つめていますか。ライバルとして、あるいは仲間として、それとも兄貴分的な立場からなのか。
[俊哉] ライバルとは思ってないよ。磐田にいた頃から、「こいつがライバルだ」みたいな感覚ってないんだよね。そんなにギスギスしてないよ、俺。名古屋に来て試合に出られない時期もあったけど、「今出ている奴を蹴落とそう」なんて考えもしなかった。きちんと準備して、そのうち巡ってくるチャンスで仕事ができればいいと思ってた。だから、みんないい仲間だね。
――対等な目線で話をする関係。
[俊哉] でもやっぱり、兄貴分になってる面もあるのかも。だって、食事に行く時みんなお財布持ってこないから(笑)。冗談ですけどね。
――若い選手に熱くサッカーを語ったりするんですか。
[俊哉] 時にはそういうこともあるけど、そこまで頻繁ではないよ。山口慶とはいる時間が多いかな? それでも考えを押し付けたりはしないつもりだよ。いろんな考え方があっていいと思うから。でもいろいろ聞かれたら一応、「俺はこうやってた」と伝える。それからどうするかは、彼ら次第だから。
――試合においても、ピッチの外でも、チームに落ち着きをもたらしていますね。
[俊哉] そんなことないよ。長くやってると、何をやってもいいように取ってもらえるんだよね。それで助かってるだけ。やることなすこと否定されなくなったし、酷評されなくなった。今シーズン序盤のボランチでのプレーにしてもそう。無難にこなしたように見えたかもしれないけど、どうにもできずに負けた試合だってあるから。「今日はあまり良くないなぁ」っていう試合でも、誰にも悪く言われない。だから、それに甘んじちゃいけないと思う。チームの中にも、言いづらい環境をつくっちゃいけないよね。
――そうは言っても、試合の中で押さえるべきポイントは必ず押さえているように見えます。
[俊哉] 現役を終えた選手たちがよく「やめてからもサッカーはうまくなる」って言うよね。歳を重ねればサッカーの理解度が上がっていくのは間違いないけど、同時に体力は絶対衰えてくる。そのバランスだよね。体力が落ちる速度をゆっくりにすれば、経験で補える部分はたくさんある。でも体力が一気に落ちたら、もうアウト。現代サッカーでは走れない選手は使われなくなるから。走れなくなったらダメだと、いつも思ってる。
――まだまだグラウンドを走り続けてくれると思います。リーグ戦再開後の見どころを教えてください。
[俊哉] 名古屋には個性的なプレーヤーが多いから、そういう選手たちがひとつにまとまって、チームとしてどんなプレーを見せるかに注目してほしい。方向性が定まってくれば、安定して力を発揮できると思うから。シーズンの前半戦は、個性はあるけど勝利のためにひとつになりきれなかったところがある。でも一人ひとりを見たら、なかなかいい選手がいるから。個性が有機的に絡み合ってくれば、巻き返せると思う。
――400試合を超えても、まだまだサッカーを楽しんでいますね。
[俊哉] サッカーがつまらなくなったらやめるよ。今の「サッカーが楽しい」っていう感覚は、小学4年生の時にサッカーを始めた頃とまったく同じものなんだよね。あの時と同じ喜びが、今ボールを蹴っていてもあるから続けられる。長くやってきたから、「ボールを蹴ってるのがつらい」っていう選手も見てきた。みんなが楽しくやれるわけじゃない。でも俺は楽しい。これはすごく幸せなことだよね。

取材・構成◎中山一成(CRCC)、撮影◎新関雅士
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